この回では実際にラーメンを口から入れて見ます。
口腔内で何が行われているか見てみましょう。
ラーメンを口へ入れると咀嚼が始まります。
ラーメンの麺は細かく砕かれ数mm~数cmほどに分断されます。
しかしこの大きさでは体内へ吸収するには大きすぎます。
デンプンの正体
ラーメンの麺はデンプン質などから出来ています。
デンプンを拡大して見てみましょう。
ツブツブが見えますね。
このツブツブは直鎖状のものと枝別れしているものがあります。
直鎖状のものをアミロース。枝別れしているものをアミロペクチンといいます。
これらデンプンはアミロースやアミロペクチンなどからできています。
さらにこれらアミロースやアミロペクチンを拡大して見てみましょう。
構造式で書いてみるとこうなります。
複雑な構造式になってしまいましたが、同じものの繰り返しなのです。
ポイントはこの物質。
これが直鎖状、枝別れしながらデンプンという物質を形作っているだけなのです。
デンプンは糖を繋げたもの
直鎖状、枝別れしていた六角形の物質は、単独でグルコースと呼ばれています。
グルコースは六炭糖に分類され、ヘキソースとも呼ばれます。
ここで基礎①のページでも紹介したギリシャ数字が関係します。
ヘキサはギリシャ語で「6」でしたね。
しかし、この構造式は略式であり本当はこう書きます。
かなり複雑な見た目をしているため、重要な部品や決まりきった構造は略して書くのです。
六炭糖(ヘキソース)なので「6個のC(炭素)を持つ糖」。
6つの「C」を数えることができます。
デンプンはこの六角形のグルコースが連続して繋がっている。
構造式で書くと難しく感じますが、グルコースをコピペしただけのものでしたっ!
糖の名前付け
糖はほとんど全て○○○オース(ose) という名前です。
グルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、など全て○○○オース(ose)と名づけられます。
つまり、「テストでなんか聞いた事ない物質が出た!」という事態に陥っても、
○○○オース(ose)と名前がついていれば糖であることがわかるのです。
- ホモ多糖類:全く同じ単糖(例えばグルコース)をコピペしたもの。グルコース + グルコース
- ヘテロ多糖類:違う単糖を組み合わせたもの。グルコース + フルクトース・・・・・・
ここでまたギリシャ語です。
ホモ homo は同じ物の組み合わせ。ヘテロ heteroは違うものの組み合わせ。
どこかで聞いた事ありませんか?
デンプンは大きいから切ろう!
デンプンは糖を連続で繋げたものだということがわかりました。
咀嚼によって歯でラーメンを細かく切ることができますが、そこから先はもっと小さなハサミがいりそうです。
咀嚼を続けると唾液が生成されます。
この唾液内にはアミラーゼという酵素が含まれています。
これが大きめのデンプンを分断し細かくする小さなハサミといえます。
酵素って・・・?
酵素はほとんど全て○○○アーゼ(ase)と名づけられます。
アミラーゼ、リパーゼ、ホスファターゼ、ペプチターゼ、アスパラギン酸カルバモイルトランスフェラーゼ など酵素には○○○アーゼ(ase)の語尾がついています。
これも複雑な名前をしていても見分けるのは簡単ですね。
酵素は自分自身は変化せず、物質が変化(部品がとれたり、ひっついたり)するのを促進させます。
この様に変化を促進させるが自身は変化しないものを触媒といいます。
ビニールロープを手で細かく裂いて切ることは可能ですが、ハサミを使ったほうが断然効率的ですね。
ではさっそくアミラーゼを使ってデンプンをザクザク切っていきましょう。
まだまだ荒々しいですが、多少は切れました。
口腔内だけの酵素で全てを分断することは難しいです。
ここでは「まあ、だいたい切った」くらいでいいのです。
噛まないで飲み込んでもちゃんとウンチは出てきますよね。
さあ、ゴックンして食道の蠕動運動でもって胃に運びましょう。
次回は胃で何が起こっているかを生化学的に説明します。