胸椎圧迫骨折

胸椎圧迫骨折の病態生理、症状、診断、検査、治療、看護について。脊椎の解剖図、胸椎圧迫骨折の看護上の問題点、胸椎圧迫骨折の治療、胸椎圧迫骨折の看護についてまとめます。

目次

胸椎圧迫骨折の病態生理

脊椎 解剖図
  • 必要以上に強い外力が加わった時に、その圧力で骨が折れてしまう症状のことを圧迫骨折という。
  • 骨粗鬆症により骨が弱くなりm、脊椎の椎体が圧迫骨折することが多く、第11、12胸椎、第1、2腰椎で多く見られる。
  • 男性より女性の発症率が高く約2倍
  • 急性期に疼痛などの自覚症状が無いまま経過し、脊柱アライメントの崩れ、椎間関節の機能異常や偽関節による可動域の異常による疼痛を訴える場合も少なくない。
  • 骨粗鬆症性では、発症時期が不安定な骨折も多く、画像評価からの時期の判断は困難である。

胸椎圧迫骨折の症状

  • 主な症状は疼痛と脊柱の後彎変形である。
  • 疼痛は急性期に小実骨折に伴うものと、慢性期に生じる偽関節や変形に伴う疼痛に分類される。
  • 急性期の疼痛の特徴は、体動時の激しい痛みと、骨折椎体棘突起に一致した叩打痛である。特に寝返り、起床、起立時の激痛が特徴。
    ※胸椎椎移行部では、腹部への放散痛が生じることもある。
  • 臥床を余儀なくされる強い疼痛は2~4週間で軽減することが多い。

胸椎圧迫骨折の診断、検査

画像診断

基本的にはX線にて所見は明らかになるが、受傷直後は明らかな骨折線や圧潰像を認めないことも多く、確定診断にはMRIが有用である。

画像所見

  • X線透過性低下
  • 海綿骨梁の減少と萎縮
  • 椎体上下縁の硬化像
  • 椎体の変形

胸椎圧迫骨折の治療

  • 薬物療法、運動療法、装具・ギプスによる保存療法が第一選択になる。
  • 脊椎の不安定性のある奨励や変形の強い奨励、神経症状のある奨励では、前方もしくは後方固定術や、椎体形成術などの手術適応となることもある。
  • 保存療法は、発症からの時期によって適応が区別される。また、圧迫骨折だけでなく骨粗鬆症についても十分に考慮したうえで保存療法を行う。
  • 薬物療法では非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の投与が一般的である。その他に座薬。湿布薬や処方され、強い疼痛にはブロック注射が適応になることもある。

胸椎圧迫骨折の看護

  • 脊髄損傷を合併し、四肢麻痺、呼吸障害が生じている場合には安静に留意する。
  • 急性期の搬送時は、変形による脊髄圧迫を防ぐため脊柱を水平に保つ。
  • 四肢の麻痺に対して良肢位の保持、関節可動域の維持をし、変形萎縮を予防する。
  • 膀胱留置カテーテルの長期留置は尿路感染を招くため、徐々に排尿訓練を行う。
  • 安静度に合わせて、日常生活動作の回復、向上を図る。
  • 目標を設定し、段階をおったリハビリテーションを行う。
  • 患者の障害受容変化を理解し、家族を含め、心理面のケアを行う。
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