頻尿とは尿が近い、尿の回数が多いという症状であり、主に1日に8回以上の排尿があることを言う。
目次
頻尿の病態生理
頻尿の原因は様々で、
- 過活動膀胱…膀胱が自分の意思とは関係なく尿意切迫感を生じる。
- 残尿…排尿直後にまだ出し足りない感じがすること
- 多尿
- 尿路感染・炎症…膀胱の知覚神経が刺激されて頻尿となる
- 腫瘍
- 心因性
- 前立腺肥大症
- 水中毒
- 糖尿病
- 服用した薬物による副作用
などが考えられる。
膀胱三角部の張力受容器、触覚、温冷覚の受容器が過度に刺激を受けると頻尿となる。
その他、加齢による排尿筋の収縮、寒冷刺激、緊張やストレスなどの心因性のものがある。
閉経後、女性ホルモンが低下すると膀胱排尿筋が亢進し、頻尿となることがある。
カフェインやアルコール摂取による血管拡張性の尿量増加など
頻尿の随伴症状
[尿の回数増加] → [膀胱容量低下] → [頻尿の悪化] → [頻尿ストレスによる水分補給不足] → [脱水、尿路感染]
[尿の回数増加] → [夜間の不眠] → [ストレス・集中力の低下]
頻尿の検査・診断
①問診
自覚症状、きっかけなどの状況、主訴以外の症状、既往歴、薬剤歴を聴取
②診察
- 視診
尿道口の異常、皮膚状態の観察 - 触診
腹部膨隆の有無 - 直腸内指診
圧痛の有無、前立腺、直腸、肛門括約筋反射の状態、膀胱頸部の硬さ - 尿量測定
尿意を感じた時に尿を流出するまでの時間、排尿の勢い、排尿に要する時間などを測定 - 残尿測定
排尿後に導尿を行う。残っている尿量を測定する。30ml以内で正常。
③検査
- 血液 生化学検査
尿素窒素、クレアチニン、尿酸、電解質。糖尿病や心疾患についてもアセスメントする。 - 尿 一般検査
成分・性質・血球の有無・細菌の有無、尿量、尿比重、色調、尿混濁、血尿、尿沈査 - 尿細胞培養
- 尿道・膀胱造影
腫瘍(膀胱ガン)の有無、結石の有無 - 超音波断層撮影
腫瘍(膀胱ガン)の有無、結石の有無
頻尿の治療
- 原因となる疾患の治療
- 心因性頻尿の場合、尿意があったとき我慢できるようにセルフケアを実践、膀胱訓練や骨盤底筋体操など。
- α遮断薬、アセチルコリン作動薬などの投与
頻尿の看護
原因の明確化
看護者は症状出現に至る過程を聞き出し、同時に患者の生活の様子を細かく観察する。
得た情報を分析し、できるだけ早期に原因を明確にする。
不安・ストレスの緩和
排尿障害が生じた場合、不安に陥りやすい。残尿感からのストレスや羞恥心、自尊心の低下など。これらを十分理解し、患者のプライバシーなどに配慮し、支えていく。
感染防止
尿路感染は頻尿悪化につながる。排尿障害などがあると、ストレスや羞恥心から排尿を我慢したり、水分補給の制限してしまうことがある。患者への説明・指導が大切。