臥床時間が長い患者の離床:看護計画

臥床時間が長い患者の看護計画の例です。シミュレーション患者を記録して看護計画を立ててみます。褥瘡形成のリスクが高いなど、臥床時間が長い患者の看護上の問題点、問題点の経緯と理由、看護計画の目標、OP、TP、EPなどについてまとめます。

目次

看護上の問題点

ベッド上での臥床時間が長く、自力体動が困難である。

問題点の経緯と理由

脳梗塞を繰り返し左半身に麻痺がある。自力での体位変換は行えず、全介助である。現在、経管栄養法での管理となっていて血液検査による検査データから栄養状態は不良。

1日のほとんどをベッド上で過ごしているため褥瘡形成のリスクが高い。呼吸困難や痰がらみの訴えが多く自己でも痰の喀出はできないため吸引を行っている。そのため車椅子へ乗車してもすぐに帰室し、ベッド上へ戻るしぐさが見られる。

離床や体動を促すことで褥瘡形成、肺合併症の予防をし、QOLの低下がないようにするため問題とした。

看護計画の目標

○月○日までにリクライニング車椅子で30分間の離床ができるようになる。

看護計画のOP

バイタルサイン

体温、脈拍、呼吸数、血圧、SPO2、呼吸音、肺雑音、腹部の状態

皮膚の状態

乾燥・湿潤の有無
浮腫の有無と程度
チアノーゼの有無
冷感の有無

喀痰

吸引物の量、性状、色
吸引前・中・後の患者の状態
吸引回数
咳嗽の有無
喘鳴の有無

口腔内の状態

汚染の程度
喀痰貯留の有無
口腔内や口唇の乾燥の有無

疼痛

有無と程度、部位

疲労や気分不快などの訴え

家族の方からの訴え、希望

看護計画のTP

離床時間を増加するため、午後のおむつ交換後、リクラインニング車椅子を使用して離床をする

離床時間を増加するため、午後のおむつ交換後、リクラインニング車椅子を使用して離床をする
  1. ズレ防止のため滑り止めシートを敷く。
  2. 二人で介助し、リクラインニング車椅子に離床させる。
  3. 下肢の疼痛が軽減するように膝下にクッションをいれる。
離床時間を増加するため、午後のおむつ交換後、リクラインニング車椅子を使用して離床をする

※離床時に好きな音楽を流すことで、積極的な離床につなげる。

※血圧低値のため、1回の離床時間を30分程度とし、疲労の訴えがあった場合はベッドに戻るようにする。

吸引の実施

訴えがあった時と痰がらみが見られた場合に吸引を行う。

  • 離床前に痰絡みがあれば吸引を行う。
  • 離床時に訴えがあれば自室へ戻り吸引を行う。

口腔ケア

午前・午後に1日2回、口腔ケアを行う。
乾燥・汚染の具合を確認して湿潤ジェルを使用してケアを行う。
口腔内をホウ酸水で湿らせたガーゼで拭き取る。

口腔内の清潔を保つとともに、唾液腺を刺激することで唾液の分泌を促す。

  • 口腔ケアを行うことを説明し、了承を得る。
  • 歯ブラシ、スワブを使用し、歯・歯間の歯垢を取り除く
  • 鑷子を用いて無理のない程度に口腔内の汚れを取り除く

体位変換の実施

① 2時間ごとに体位変換を行う。

10時左側臥位
12時右側臥位(けいかん栄養中)
14時左側臥位
16時右側臥位

② 背部、膝部、足部の下にクッションを入れ安楽な体位に整える。

膝下:60×30cm 足部、背部:30×15cmのクッション

③ 左下肢疼痛の訴えがあった時

下肢の圧迫を和らげる為下肢の姿位を変換する。

経管栄養法の実施

白湯200ml、CZ-Hi 300ml

白湯→栄養剤の順で注入する。

  1. 注入量、速度、温度、種類、量、時間帯を確認し、流動食を注入する。
  2. 嘔吐や下痢を予防するために、30度程度ベッドの頭部側を挙上し右側臥位にする。

下肢の拘縮予防と尖足軽減のため足関節の底背屈運動を行う

足関節の底背屈運動

10回×2セット行う。
ベッド上仰臥位、他動運動で行う。

下肢の拘縮予防のため膝関節の伸展・屈曲運動を行う

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10回×2セット行う。
ベッド上仰臥位、他動運動で行う。

呼吸機能維持のため、車椅子で離床し、歌を歌う。

日中の覚醒を促すため、ベッド上で手浴を行う。

1.ビニール袋に湯を入れ、掛け湯をしながら手を浸す。
※その際、レモングラスのアロマオイルを用い、コミュニケーションを取る。
レモン、ペパーミント、ローズマリーなど覚醒効果のあるアロマが良い。
2.手指のマッサージを行う。

手浴の手順

看護計画のEP

褥瘡の予防、自力体動の必要性について説明する。

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