誤嚥性肺炎患者の看護計画の例です。患者情報はシミュレーションです。
看護上の問題点
食事の経口摂取が困難である。
問題点の経緯と理由
M氏 女性 85歳
現在、誤嚥性肺炎、糖尿病、左下腿褥瘡にて入院中。
食意の低下により、現在禁食となっている。経管での栄養については家族の希望により行っておらず、輸液にて対応中である。
そのため、体動の制限があり、栄養状態の悪化、筋力低下により自立体動の減少により褥瘡の治癒の遅延が発生していると考えられる。
経口での摂取を行うことで栄養状態の改善を図り、点滴を行う必要性を排除し体動の拡大に繋がる。
また、入院前までの生活の場である施設に戻ることが可能となる。
しかし、現状のまま点滴のみで経過した場合、自己排痰の困難から窒息に至る危険性がある。
また、新たな褥瘡の形成に至る可能性があるため問題とした。
看護計画の目標
○月○日までにゼリー食を10口摂取できるようになる。
※実習期間内に達成できる量にする。
看護計画のOP
- バイタルサイン(体温、脈拍、呼吸数、血圧、SPO2)
- 口腔内の状態の観察(乾燥、痰がらみ)
- 呼吸状態の観察(肺雑音、喘鳴(ぜんめい)の有無)
- むせこみの有無の観察 また、どのような状況でむせこむか
- 訓練に対する意欲の有無
- 血液検査データの変化
看護計画のTP
口腔ケアを行う
朝・昼に1日2回、口腔ケアを行う。
口腔内の清潔を保つとともに、唾液腺を刺激することで唾液の分泌を促す。スポンジブラシを使用。
レモン水の使用 → イソジン水の使用
唾液腺マッサージを行う
1日1回、唾液腺マッサージを行う。
ベッド上、セミファーラー位にて行う(30~60° ギャッジアップ)
- 耳下腺まわりを回転するようにマッサージを行う(5回)
- 舌下腺を首筋から上へマッサージする(5回)
- 顎下腺を首筋から上へマッサージする(5回)
全行程3~5分程度とし、苦痛があれば中止する。
顔のマッサージを行う
1日1回、顔のマッサージを行う。(負担にならない程度)
ベッド上、セミファーラー位にて行う(30~60° ギャッジアップ)
[効果] 筋力強化、痙性をとる、可動域拡大、リラクゼーション効果
リラクゼーションをかねて、好きな音楽など流しながら行うとよい。
喉のアイスマッサージ
1日1回、顔のマッサージを行う。(負担にならない程度)
食事をしている場合は、食直前に行う。
咳嗽訓練を行う
食事を行う時と同様の体位で行う。(30~60° ギャッジアップ)
意識的な咳をすることで、口頭閉鎖機能を改善させ、横隔膜や腹筋を鍛え、喀出力を高める。
訓練①
- 鼻から息を吸い込み一旦止める。
- しっかり声を出しながら咳をする。
- 1,2を5回繰り返し
訓練②
裏声(または甲高い声)と、地声(または低い声)を交互に出す。
これを5回繰り返す。
看護計画のEP
- 訓練の必要性をわかりやすくジェスチャー等を通して説明する。
- 訓練の手順、内容を説明する。
嚥下機能の評価
反復唾液嚥下テスト(RSST)
方法
3秒間の間に唾液をできるだけ何回も飲み込む。
※ベッド上、セミファーラー位(30~60° ギャッジアップ)
※喉に手をあて、嚥下の有無を確認する。
評価
30秒間に3回以上にて、問題なし。
水飲みテスト(MWST)
方法
冷水3mlを口腔前庭(口唇と歯茎の間)に注ぎ、嚥下してもらう。
判定基準
- 嚥下なし、むせる、呼吸切迫
- 嚥下あり、呼吸切迫
- 嚥下あり、呼吸良好、むせる、湿性嗄声(しっせいさせい)
- 嚥下あり、呼吸良好、むせない
- 4、かつ、空嚥下の追加指示を行い、30秒間に2回以上できる。
評価
1~3の場合、誤嚥が起きている。
フードテスト
方法
ティースプーン1杯(3~4g)のゼリーなどを嚥下してもらい嚥下状態を確認する。
判定
- 嚥下なし、むせる、呼吸変化を伴う
- 嚥下あり、呼吸変化を伴う
- 嚥下あり、むせる、口腔内残留、呼吸変化はない
- 嚥下あり、むせない、追加嚥下で残留消失、呼吸変化ない
- 4、かつ、空嚥下の追加指示を行い、30秒間に2回以上できる。