妊娠~出産から子育て期間において保健指導による身体的な健康のみならず、心の健康を含む出産への援助が必要である。
正しい知識による安全、安心な出産が行えるよう助言する。
福祉機関や教育などとも連携をはかり有効な援助を確立する。
妊娠初期における保健指導
妊娠の届け出
母子保健法15条において、妊娠した者はすみやかに市町村役場に届出をしなければならない。
届出のあった者に母子健康手帳が交付される。
妊産婦の健康診断
定期健康診断の必要性と方法について。
安全、安心な分娩を行う上で健康診断は必要不可欠である。
交付された健康診査受診表を提出することで14回の診察料が無料になる。(自治体による)
妊娠初期の日常生活
規則正しい生活と十分な休息をとる。
立ち仕事などのハードな労働を避ける。
妊婦の心理的変化
妊娠期には感受性の亢進、内向性と積極性が顕著になる場合も。
食欲や性欲の変化、嗜好品の変化など。
ホルモンの不均衡による感情の変化。(外的刺激に対しての敏感な反応、妊娠自覚による喜びや戸惑い、不安など)
つわりの予防
妊娠初期には、食欲不振、嗜好品の変化、嘔吐などの50~80%ほどの妊婦に症状として起こる。
- 酸っぱいもの、スッキリするものなどの食べ物が一般的に好まれる。
- 匂いの強い食べ物などを避ける。
- 調理はパートナーと相談して考慮する。
- 栄養価や時間に関わらず、好きな時間に食べたいだけ食べる。
- 嘔吐を繰り返す場合、水分不足となることがあるため、水分補給に考慮する。
- ベッドわきに、朝起きたときにクラッカーなど簡単に口にできるものを用意すると良い。
流産・切迫流産の予防
切迫流産
安静を指示し、ハードなスケジュールは避ける。出血の有無を確認するよう指示する。
自然流産
月経痛のような下腹部の痛みと少量の子宮出血がおこる。
長時間の起立、ハードな仕事、冷えなどに注意する。
妊婦の服薬
体調の悪い時は十分に休息を取る。主治医の元、処方されたものだけを服薬する。
自身での判断での服薬はしてはならない。
妊娠中期における保健指導
妊娠期の食事
食事は刺激の少ない低脂肪の食品を選択する。少量ずつゆっくり食べる。
カフェイン、アルコールの摂取を自粛する。
カフェインの摂取は子宮内の胎児発育遅延のリスクが高くなる。
胎児性アルコール症候群:摂取したアルコールの影響で発達障害や学習障害を起こす。
タンパク質、鉄分、カルシウムを多く含む食品を摂取するようにする。
塩分の濃い食事は控え、定期的に体重のチェックを行う。
便秘の予防に備えた食事。
妊婦の服装
- 夏の冷房、冬場の冷え防止に、足元~腰を暖める服装が良い。
- 締め付けが少なく楽な衣類
- ヒールなどを避け、安定した靴を履く。
- 腹帯、コルセットなどで腹部を保護する。
妊娠後期における保健指導
姿勢、運動など
腹部突出による腰痛緩和のため、シムス位での就寝、休息をとる。
妊娠中は疲れやすく、腰背部痛が起こりやすい。十分な睡眠と休息をとる。
一般的な睡眠時間+1~2時間ほどを目安に睡眠をとる。
マタニティエクササイズ
妊娠中の筋肉、呼吸などの機能を改善、肥満の予防などに良い。
有酸素運動を行うことで気分転換をはかり、積極的な分娩への準備を行う。
※事前前に、医師による許可、またはハイリスク因子をもつ妊婦は避ける。
乳房の手当て
- 乳房・乳頭は清潔を保つ。
- 乳房マッサージ
脇下に近い乳房の付け根からゆっくり内側へマッサージする。
乳房基底部での血液循環を促進する。 - 乳頭刺激
乳頭・乳輪部を指で1~2分ほどつまむ。
分娩に必要な準備の確認
- 出産場所の決定
- 産後の生活、支援体制の確認
- 里帰り出産を行うかどうか。
- 心身の準備。
- 出産後に必要な物品の準備(肌着、おくるみ、オムツ、哺乳瓶、哺乳瓶消毒剤、沐浴用バス、ベビー用ローション など)