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呼吸器に起こりうる術後合併症とその根拠
麻酔薬による呼吸運動が抑制され、換気量の減少が生じやすくなる。
麻酔時の気管挿管により気道粘膜が刺激され、痰などの分泌物が増加する。ここへ呼吸運動や気道の絨毛運動の抑制、また、術後疼痛などによる喀痰喀出困難などが加わり、気道内に痰が貯留しやすい状態となる。
この貯留した痰が抹消の気道を閉塞し肺胞が虚脱する結果、無気肺を起こす。
肺炎は無気肺が移行した場合や胃内容物、気道分泌物などの誤嚥により生じる。
喫煙歴がある場合は、気道分泌物が増加するので呼吸器合併症のリスクはさらに高まる。
呼吸器術後の観察項目
- 呼吸状態(回数、深さ、左右差)
- 胸郭の動き
- SpO2
- 痰の性状、喀出状況
- 痛みの程度
- 表情
- チアノーゼの有無
- 抹消冷感
- 胸部X線
呼吸器疾患、術後1日目
- リスクが高い
- 慎重に観察
呼吸器疾患、術後1~3日目
離床の進み具合によって痰の喀出ができ、貯留が認められない場合は、リスク低下(離床状況による)
呼吸器疾患、術後4~6日目
- 離床が進んでいる場合は、リスク低下
- 前日までの経過で問題がない場合は、詳細な観察の優先順位は低くなる。