ベッド上安静の指示があったなど、自力での食事が困難な場合、食事の援助をする。
(視力障害、手の麻痺など)
自力でできる部分はなるべく患者自身に食事摂取させる。
食事援助の留意点
食事に適する環境を整える。
話かけのタイミングを考慮し、楽しく食事を進める。
麻痺がある場合は、麻痺側とは反対から援助する。
座位の場合
上半身座位にし、前屈位にならないようにする。
(誤嚥、逆流などの防止)
座位での食事が難しい場合
30°ファーラー位頸部前屈位
根拠
重力でもって食べ物を取り込みやすくする。 首の後ろに枕を入れると頸部が前屈し、喉頭が挙上するため食物が咽頭と気管へ入りにくくなる。
食事援助の必要物品
- 配膳(メニュー、食べる順などを考慮し、動線がなるべく交差しないように配置する)
- スプーン、箸(麻痺のある患者は自助具などを使用)
- ストロー、吸い飲みなど
- タオル、エプロン
食事援助の手順
1.食事開始時間を考慮し、20~30分ほど前に排泄の確認をする。
排泄時の臭気が残ると食事への意欲が低下する。
2.食事を始めることを患者に伝える。
3.落ち着いて食事ができる環境を整える。
4.看護者は手洗いをする。
5.安楽な体位にする。
座位、または30°ファーラー位頸部前屈位(嚥下困難がある場合)
前屈位にならないようにする。
6.患者の手洗い
手浴、またはおしぼりでよく手を拭く。(生活習慣の維持、手指の清潔を保つ)
指の間なども汚れがたまり易いのでよく拭く。
7.合嗽を行う
仰臥位の場合、誤嚥予防のため吸い飲みやストローなどを使用する。
根拠:口内をサッパリさせ、食事への意欲を向上させる。嚥下筋のウォーミングアップ
8.配膳の準備を行う
使いやすい様配置、高さを調整する。
制限食の場合
食札、食事内容、患者名を確認する。(食事も治療の一環であるため)
視覚障害の患者の場合
食事内容を説明し、配膳位置を確認してもらう。
9.食事の介助
食事の順序
汁物から始める
根拠:食欲促進、誤嚥の防止、唾液分泌の促進による食欲増加
患者の頸部前屈位を保って食事を進める。
▼前屈になると咽頭と気道が一直線になり、気道に食べ物、水分を通りやすくなる。
▼後屈になると食道を通りにくくなる。
ゼリーなどで嚥下の状態を確認する。
咽頭、喉頭を通過するときに変形しやすく嚥下しやすい
患者に合わせた一口量、スピードを考える。
10.食後の介助
- 口腔ケアを行う。 (生活習慣の維持、口腔内の清潔を保つ)
- ガラガラ嗽は頸部が伸展し、誤嚥の原因になる。
- 食後はすぐに臥床せずにしばらくセミファーラー位で過ごす。
11.観察、記録
食事量、食事内容、食事時間、満足感、食欲
食後の痰、むせ、声の変化などを観察、記録する。
食事援助の観察ポイント
- 口に運ぶ前にこぼす→麻痺、失調、取り込み障害、など
- 咀嚼の状態:下顎の上下運動だけで回旋させていない(咬筋の障害など)
- 嚥下反射:送り込み障害の場合上を向いて嚥下する。
- むせによる誤嚥
- 食事中の咳:誤嚥、咽頭残留、胃食道逆流など