小児の疾患はおおまかに分けると…
- 発生障害
- 血流障害
先天性食道閉鎖症(発生障害)
先天性食道閉鎖症は胎児期に分離が十分に行われず起こる。
グロスC型 先天性食道閉鎖症(85%)

グロスA型 先天性食道閉鎖症(7~9%)

NGtube を挿入するとCoil up sign が見られる。
腹部が陥凹する。生まれたらすぐに手術が必要。
横隔膜ヘルニア(発生障害)

横隔膜ヘルニアは横隔膜のすきまから内臓がはみでる。左側で横隔膜ヘルニアの発生率が高い。
先天性十二指腸閉鎖(発生障害)
十二指腸が出来る過程での異常。胎生8週目に閉鎖し、10週目に再疎通するのが正常の過程である。これが遅れて再疎通しないで十二指腸閉鎖が起こる。
X線写真にてダブルバブルサインがうつる。
先天性小腸閉鎖症(血流障害)
大腸が大きくならず(Micro colon)灰白色便が出る。
NGチューブによる減圧で治療できる。
腸回転異常症(血流障害)
正常


腸が回転し血流が滞り、壊死が始まる。

- 正常な場合…270℃捩れておさまっている
- 異常な場合…180℃でねじれが止まっている。(小腸~横行結腸がねじれやすくなる。)
[緊急手術]腸管が軸捻転を起こす → ワールプールサイン
新生児穿孔性腹膜炎(血流障害)
新生児穿孔性腹膜炎は腸管に血流障害等による穿孔(穴)が出来、胎便があふれ出ておこる腹膜炎。
壊死性腸炎(血流障害)
壊死性腸炎は腸への血流が阻害され、そこに細菌などの感染が加わり腸が壊死しはじめる。
免疫が弱いため感染しやすい。
ヒルシュプルング病
ヒルシュプルング病はS状結腸~直腸のアウエルバッハ神経叢が先天的に欠如して起こる。
直腸肛門奇形(鎖肛)
直腸肛門奇形は直腸が盲端に終わり、肛門がない。

高位・中位では新生児期に人工肛門を作成、ある程度成長してから肛門を作る。
低位では新生児期に肛門を作り根治させる。
臍帯ヘルニア・腹壁破裂
臍帯ヘルニア、腹壁破裂については出生前に診断が可能である。
低体温・脱水・感染への予防が必要
新生児は120cc/kgの水分が必要
肥厚性幽門狭窄症
幽門の筋肉が肥厚してミルクなどの通りが悪くなる。ミルクを激しく嘔吐する。幽門筋切開術(ラムステッド法)を行う。
腸重積症
腸重積は超音波検査で確認できる。
(ターゲットサイン、シュードキドニーサイン)
下痢 → 嘔吐 → 腹痛 → イチゴゼリー状の粘血便
腸重積の外観

腸重積の断面

胆道閉鎖症(発生障害)

胆道が先天的に細く、胆汁が閉鎖して通れない。
胆汁が十二指腸に流れ出ず黄疸が出る。
葛西法による治療

60日以内に行う必要がある。葛西法は空腸を肝門部に縫合する。
胆道拡張症
胆道が拡張しているため膵液が胆道に逆流して炎症を起こす。
胆道への逆流は膵胆管合流異常。
自己消化により炎症を起こす。
神経芽腫
ガンは常に出来続けているがリンパ組織(免疫)が働き続けている。
小児はリンパ組織が未発達なため神経芽腫が発生しやすい。
- バニリルマンサン酸(VMA 上昇)
- ホモバニリン酸(HVA 上昇)
- 血清神経特異エノラーゼ(NSE 上昇)