運動器の良肢位
良肢位・・・日常の動作において不自由の少ない肢位のこと。機能的肢位、便宜肢位ともいう。
肩関節
外転 10~30° 屈曲・回旋は顔に手が届く角度。術後、外転50~60度に固定されることもある。
前腕
回内、回外中間位
手関節
背屈 10~20°
股関節
屈曲 10~30°
内旋・外旋中間位、外転位 0~10°
膝関節
屈曲 10°
足関節
背屈・底屈 0°
ボディメカニクス
ボディメカニクスとは、人間の運動機能である骨・関節・筋肉等の相互関係の総称、あるいは力学的相互関係を活用した技術のこと。
ボディメカニクスの観点から、身体各部の関節や軸をつねに力学的に正しい相互関係におくことが、身体各部の効果的な使用や関節にかかる負担の軽減につながる。
治療期間中は体動や体位の制限があるが、機能保持のためには、目的にかなっていて安楽な体位を保持することが重要である。
股関節の人工関節置換術後に、内旋・内転・屈曲位をとると、股関節の脱臼をおこす恐れがある。このため仰臥位・側臥位には、枕などで患者側を外転位に保つ。
日常生活活動 ADL:Activities of Daily Living
日常生活動作ADLとは、ひとりの人間が独立して生活するために行う基本的、日常的な、身体的動作をいう。
生活日常動作とは
- 起居
- 移動
- 食事
- 更衣
- 整容
- トイレ
- 入浴
- コミュニケーション
運動器疾患患者の失われたADLを可能な限り改善させ、自立を促進させることが看護の目標である。
幻肢痛に対する援助
幻肢痛には個人差があり、しびれ感、絞扼感、灼熱痛など性状も出現の状況も様々である。
切断の事実を受け入れられていない人ほど痛みを感じやすい。
幻肢痛の性質や程度、心理状態、生活への影響を観察するとともに、患肢の手当てや断端の包帯などを患者自身に行わせることによって切断を受け入れられるよう導いていく。
骨折の治療処置
骨折の治療処置は整復、固定、後療法、リハビリなどがある。
骨、関節、筋肉の疾患の原因は変性と外傷によるものである。
運動器疾患患者の身体的問題は痛み、変形、機能障害に代表される。
筋萎縮や拘縮などの予防に、等尺性運動や関節可動域運動が有効である。
骨の働きは・・・造血、身体の支持、カルシウム貯蔵
ギプス固定の観察,援助
ギプス固定の観察、アセスメント
- 固定後の循環障害
- 神経障害の有無
- 褥瘡の発生(2時間ごとに巻きかえる:ギプス更新)
- ギプス固定は2関節固定が原則である。
- 上位脊髄損傷C3~C4では呼吸筋麻痺を呈し、死の危険性がある。
- 肩関節脱臼は全身の脱臼の約半数を占める。
- リーメンビューゲル装具は先天性股関節脱臼患者に装着する。
- 腓骨神経麻痺では、下垂足を呈する。正座をしていて足が痺れるというのも一時的な症状である。
- 小児の肘周辺の骨折に合併して起こるフォルクマン拘縮は前腕の掌側に発生した区画症候群のひとつである。疼痛、蒼白、知覚障害、運動麻痺、抹消静脈拍動消失の5Pサインが有名である。
- グリソン牽引とは頸椎につり革装具を装着し、牽引力を及ぼす牽引療法である。
- 肩関節周囲炎患者のリハビリでは、コッドマン体操を指導する。