看護学生のための生化学:⑦エネルギー代謝とクエン酸回路

シリーズ【看護学生のための生化学】最終回!消化吸収された先のできごと。体内に貯蔵されたグリコーゲンが解糖系、クエン酸回路にてエネルギー代謝される様子をなるべく簡略化しかいつまんで説明します。

前回までにラーメンは様々な酵素で分解され形を変え腸内を進行しながら栄養部分のみが吸収されていきましたね。(エネルギーに必要ないものは便へ)これら吸収された栄養:エネルギーはどの様に使われるのでしょうか?

目次

生体内で行われる代謝経路

この絶望的な図は生体内で行われる代謝経路の一部です。もちろん覚える必要もなければ目を通す必要もないです!なんとなく複雑に色んな物質が形を変えたり、別の物質を作り上げたりしていることを認識してもらえればOKです!
この図の中から1~2ヶ所だけ大事な部分のみ取り出して簡単に説明します。

エネルギーの貯蓄

前回までに消化・吸収された栄養はどこへ行くのでしょうか。
吸収された糖質はブドウ糖(グルコース)に分解された後、腸から吸収され血管を通り、肝臓へ送られて、グリコーゲン(貯蔵用の形)として貯蔵されます。(糖分の摂り過ぎで肝脂肪になるのも頷けます。)

血糖が下がった際、または飢餓状態など必要に応じて貯蓄された糖を分解してエネルギーとして使います。

グリコーゲンの解糖

いざエネルギーが必要だ!となった場合、貯蓄型として肝臓に保存されていたグリコーゲンを分解(解糖)してエネルギーを作り出します。

※酵素などの記述を省いています。

ここで大事なことは「グリコーゲン」が最終的に「ピルビン酸」に変化していることです。ピルビン酸は次のクエン酸回路へ行くための準備物質といえます。

また、途中でエネルギー産生のための大事な物質「還元性物質NADH、FADH2」や「ATP (アデノシン3リン酸)」が産生されています。このATPや還元性物質を使用して体内の生化学的活動(筋の収縮に必要)を行うのでたくさんあった方がいいものです。

ポイントは
「グリコーゲン」⇒ 解糖 ⇒「ピルビン酸」
エネルギーの元をゲットする。(ATP、還元性物質NADH、FADH2)

ALT アラニントランスアミナーゼ(Alanine transaminase)

図中の左下にある「ALT」は血液検査に使われるものです。
この酵素の量を調べることで肝機能の程度を知ることができます。

ピルビン酸からクエン酸回路へ

ピルビン酸をもらったら早速クエン酸回路が開始されます。
細胞内ミトコンドリア膜を通過した後、「ピルビン酸」⇒「アセチルCoA」となりクエン酸回路スタート!
ここでもエネルギーの元をゲットしてエネルギー産生につとめましょう!

クエン酸回路の目的は…?

クエン酸回路は何のためにあるのでしょうか?
グリコーゲン解糖系で分解され産生されたアセチルCoAを使って酸化(燃焼)し、エネルギーをゲットするためです!

また、クエン酸回路は産生された物質を利用して電子伝達系、アミノ酸代謝、尿素回路、糖新生など他の様々な代謝に使われるため、重要な代謝回路と言えます。

クエン酸回路図


上記の図から、
材料(アセチルCoA)が供給されれば、どんどんクエン酸回路が回りエネルギーが産生されていることがわかります。

クエン酸回路の覚え方

現場でこんな回路を考えながら仕事をする方はいないと思いますが…
テストで物質名などが出題される?

全く必要ありませんが、覚えなければならないならゴロ合わせで十分!

PTAでTCAサイクル
オキザロ酢酸
くさんクエン酸
忙しいイソクエン酸
起きて2-オキソグルタル酸
すぐスクシニルCoA
小走りコハク酸
フマール酸
リンゴ酸

ラーメンによる生化学のまとめ

biochemistry_7_6.jpg

食べたラーメンは脂肪、糖などはそれぞれ専用の酵素が存在し、細かく分断され腸内壁で吸収されました。栄養と関係ないものは便へ。栄養源として貴重なものは肝臓や筋肉にグリコーゲンとして貯蔵されます。
貯蔵されたエネルギー源(グリコーゲン)は必要に応じて分解(解糖)されエネルギーとして使用します。
とても生物に都合よく、効率よくできていますね!
これらの流れを分子レベルで「どうなっているんだろう?」と考える分野を生化学というのです。
是非、興味を持って本を読んでみてください!生物ってスゴイ!って思いますから。

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